北大路魯山人が手がけた「鼠志野茶碗(ねずみしのちゃわん)」は、志野焼の伝統を受け継ぎながらも、独自の美意識によって再構築された名碗として高く評価されています。
灰鼠色の釉調と柔らかな鉄絵が織りなす景色は、静寂と品格を感じさせ、茶の湯文化の中でもひときわ異彩を放ちます。
近年では国内外の美術市場でも注目が集まり、真贋の見極めや保存状態によっては数百万円の高額で取引されることも少なくありません。
本記事では、魯山人「鼠志野茶碗」の市場相場・鑑定ポイント・美術的評価・作家の背景を専門家の視点から分かりやすく解説します。
北大路魯山人「鼠志野茶碗」の相場解説

北大路魯山人の「鼠志野茶碗」は、単なる茶道具としてではなく、近代日本美術史における造形芸術の到達点として高く評価されています。
鼠志野という釉薬表現は、本来桃山時代の志野焼に起源をもち、淡灰色の地肌と柔らかな鉄絵が織りなす静謐な景色が特徴です。魯山人はその古典的な美を現代の美意識で再構築し、「古を学び、新を創る」という理念を具現化しました。
状態・特徴 | 買取・市場相場 |
---|---|
保存状態良好(共箱・署名あり) | 約150万円〜400万円前後 |
使用痕あり・共箱なし | 約80万円〜150万円前後 |
美術市場では、その芸術的完成度と希少性から、単なる茶道具ではなく「近代陶芸の芸術作品」として扱われる傾向が強く、欧米の美術コレクターからの評価も年々高まっています。
特に共箱・真筆署名付きの個体は、美術館クラスの収蔵対象とされることも少なくありません。
相場の補足
北大路魯山人の「鼠志野茶碗」は、志野焼特有の淡い灰鼠色に独特の鉄絵が映える名品として知られています。
魯山人の作品群の中でも、志野系の茶碗は制作数が限られ、保存状態・箱書・伝来(由来)によって評価が大きく変動します。
また、近年は魯山人作品の再評価が進み、特に「鼠志野」は茶人・コレクター双方から高い人気を維持しています。オークションでは400万円を超える取引事例もあり、名品クラスは今後も堅調な相場が期待されます。
北大路魯山人「鼠志野茶碗」の鑑定ポイント
- 釉調と焼成の風合い
鼠志野特有の灰色がかかった釉薬と、釉下に見える鉄絵の柔らかな発色が重要です。魯山人作品では、焼き締まりの良さと釉薬の微妙なムラに美意識が感じられます。 - 高台の処理と作行き
高台裏の削り跡は鋭く、かつ整然としています。魯山人の手によるものは力強さと繊細さを兼ね備えた仕上がりが特徴です。 - 銘・箱書の真贋
共箱の「魯山人造」「北大路魯山人」などの筆跡は、真筆であるかどうかが重要な判断基準です。鑑定書や著名鑑定人による証明の有無で評価額は倍近く変わる場合もあります。 - 使用痕と保存状態
茶道具として実際に使用された痕跡(茶渋・擦れ)も、時に「味わい」として評価されますが、ひび・欠けがある場合は減額要因になります。
北大路魯山人の歴史と作品の概要
北大路魯山人(1883–1959)は、近代日本を代表する陶芸家・美食家・書家です。京都に生まれ、書や篆刻を学んだのち、独自の美学を確立。大正期から昭和にかけては「星岡茶寮」を主宰し、食と器の調和を追求しました。
陶芸では志野・織部・黄瀬戸・唐津など古陶磁の技法を再構築し、魯山人独自の造形感覚と筆致を融合させた作品を生み出しています。
「鼠志野茶碗」はその中でも特に人気の高いシリーズで、志野釉の柔らかな質感と、魯山人特有の品格を兼ね備えた逸品として高く評価されています。
魯山人作品の売却(買取)・査定をお考えの方へ
北大路魯山人の「鼠志野茶碗」は、市場で安定した高額取引が続く希少な茶碗です。
共箱・鑑定書付きのものは特に高値が期待できます。
お持ちの作品が真作かどうか分からない場合でも、まずは専門の骨董品買取・査定サービスに相談することをおすすめします。
適切な鑑定眼を持つ業者を選ぶことで、正しい評価と安心の取引が可能です。
コメント