北大路魯山人作「赤志野茶碗」の相場・鑑定ポイント・作品背景を丁寧に解説。初心者にも理解しやすく、査定前に知っておきたい要素を網羅。
北大路魯山人 赤志野茶碗の相場解説

以下は、北大路魯山人 の志野/赤志野系作品、特に茶碗に近い器種の落札例や買取例をもとにした、価格帯見立てとその留意点です。
種別 | 想定価格帯(参考) |
---|---|
普及クラス(状態に難あり、共箱なし等) | 数万円〜十数万円程度 |
中級クラス(良好状態、共箱付き、作風典型) | 30〜80万円前後 |
上級~特級(保存良好、希少作、名品) | 80〜150万円以上もあり得る |
補足:近年の市場動向
オークション履歴では「北大路魯山人 志野」名義で、最も高値で 90万円超の落札例も存在しますが、これは特に条件の良い例です。
一部の美術・骨董業者や買取店では、魯山人の志野茶碗、特に赤志野・紅志野タイプを「40~80万円前後」が買取相場の目安として掲げている例もあります。
“志野茶碗” 名義で 190万円の取引例も過去に紹介されていることがあります(ただし、真贋・条件を明示していない情報も含むため参考程度)
したがって、「赤志野茶碗」という明確な銘の作品であるなら、上記の中・上級クラスを意識した価格想定が妥当と考えられます。ただし、作風・釉調・変化具合の良し悪し、共箱・鑑定保障の有無、瑕疵(欠け・ヒビ・修復痕)などが価格に大きく影響します。
赤志野茶碗の鑑定ポイント
赤志野茶碗(または紅志野系志野茶碗)を真贋・品質評価する際にチェックすべき主な鑑定要素を整理します。
釉調・色変化の表情
赤志野や紅志野と呼ばれる色味は、白系志野釉から赤色が変化・発色した「染みるような赤」「朱味を帯びる赤」「赤〜白のグラデーション」が見えるかどうか。
白とのコントラストやムラ、焼成ムラ・釉だれ・窯変の風情が自然であるか(人工的・均一すぎないか)茶碗内側「茶だまり部分」の渦文や流線、釉の動き(たまりや濃淡)
造形・焼成痕
- 器形の自然感・ゆがみ具合(手仕事らしい不均一さ、歪みが過度でないか)
- 高台部の削り・切り落とし、素地の見え方(高台際の露胎部分、胎土の性質)
- 支膳(焼成時の受け足跡)、釉裏のかかり・溜まり具合
落款・識箱・来歴
- 魯山人自身または黒田陶々庵識箱(箱書き・極め書き)がそろっているか
- 共布・仕覆など付属品の有無、箱の状態
- 来歴証明、過去の展覧・目録掲載歴
保存状態
- 口縁の欠け、ヒビ・クラック、洗い直し跡、修復痕の有無
- 表面釉の剥落・微細なピンホール、貫入(ひび割れ)具合
- 内面の茶渋・汚れの浸透具合(洗浄可能性)
これらの要素を総合し、真贋判断と品質評価をすることになります。
北大路魯山人という作家の歴史と作品の概要
作家略歴と特色
北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん、1883–1959)は、陶芸・書道・料理など多才な分野で活躍した日本近代の巨匠です。
特に陶芸においては、古陶・美術への造詣を土台に、伝統技法を取り入れつつ独創性を発揮しました。魯山人は、既存の焼物形式に囚われず、自ら器を作って料理を盛るという「用の美」を重んじた思想を持っていたとされます。
魯山人が得意とした技法には、志野・織部・伊賀・備前・染付・銀彩などがあり、特に晩年には「紅志野(赤志野)」と称される強い赤色を帯びた志野釉変表現を追求した例が知られます。
赤志野・紅志野志野の位置づけ
志野焼はもともと白系の釉薬表現が中心ですが、魯山人はそこから発展させて「赤を基調とした志野」表現を試み、赤志野・紅志野と呼ばれる色味の陶器を残しました。
黒田陶々庵(魯山人の甥筋・後継者)が識箱を書く例も多く、魯山人作品の流通・識別において重要な存在です。
魯山人作品は、形よりも釉薬表現・釉変、焼成のドラマ性、自然観を重視した傾向が強く、そのため「器を鑑る目」を持つ蒐集家に根強く支持されてきました。
(誘導)高額査定・買取をお考えなら
もしお手持ちに 北大路魯山人 作 赤志野茶碗 がございましたら、以下の点をご準備の上で専門の査定機関にご相談されることをおすすめします。
- 共箱・識箱・共布・来歴書などの付属品
- 作品の正確な寸法・重量・写真(全体像・高台部・内外面詳細)
- 既に把握されている傷・修復痕・状態把握
- 過去落札歴・目録掲載例があればその情報
当方でも企画・文章ベースの査定相談や、紹介可能な専門鑑定機関のご案内を承りますので、もしよろしければそのお手持ち作品の詳細をお知らせください。
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