
陶磁器は、日本の伝統工芸品の中でも歴史・芸術性・作家性が評価されやすく、近年は国内外で人気が高まっている分野です。特に、有名作家の作品や古い時代の陶磁器は、思わぬ高値で取引されるケースも少なくありません。
一方で、「どの陶磁器が高く売れるのか」「どこに依頼すれば安心か」「査定の基準は?」といった不安を抱く方も多いでしょう。
本記事では、陶磁器買取の基本知識から高く売るためのポイント、信頼できる買取業者の選び方、そして東京でおすすめの店舗までをわかりやすく解説します。
陶磁器の買取がバブル到来している理由
陶磁器買取市場の人気爆発

陶磁器は、日本の伝統工芸の中でも特に長い歴史と高い芸術性を持つ分野です。現在、国内のコレクター市場だけでなく、海外の美術愛好家からも高い注目を集めています。
特に、明治から昭和初期にかけての名工による作品や、文化勲章・人間国宝に認定された作家の陶磁器は、美術的価値が認められ、高額で取引される傾向があります。
また、近年は「実家の整理」や「相続品の売却」など、生活環境の変化に伴って陶磁器を手放す人が増えています。これにより、陶磁器買取のニーズは年々拡大しており、専門店・骨董店・オンライン査定サービスなど、多様な選択肢が生まれています。

陶磁器は国内外で人気が高く、今は需要が拡大している「売り時」です。
買取対象となる陶磁器の種類と特徴
陶磁器と一口に言っても、その種類は非常に幅広く、買取対象も多岐にわたります。茶碗や皿などの実用品から、花瓶・香炉・飾皿といった鑑賞用作品、さらには茶道具や酒器なども人気があります。
とりわけ評価が高いのは、伝統的な産地の陶磁器です。
有田焼・伊万里焼・九谷焼・備前焼・志野焼・萩焼などは、長い歴史と独自の技法を持ち、作風や釉薬の違いで個性が際立ちます。また、作家の落款(サイン)がある作品は、真贋の判断がしやすく査定額が上がりやすい傾向にあります。



買取対象は幅広く、特に伝統産地や作家物は高評価を受けやすいです。
査定で重視されるポイントとは
陶磁器の査定では、主に次の4点が重視されます。
- 作家・産地
- 有名作家や歴史ある産地の作品ほど高額評価。
- 保存状態
- ヒビ・欠け・汚れの有無は価格に直結します。
- 付属品
- 共箱・鑑定書・仕覆(布袋)などが揃っていると信頼性が上がります。
- 市場需要
- 近年は北大路魯山人・河井寛次郎・濱田庄司などの作品に特に人気が集中しています。
また、陶磁器は「一点ごとの個体差」が大きいため、査定士が実際に手に取り、光沢や焼き肌の状態を確認することが重要です。
高く売れる陶磁器の特徴
有名作家や人間国宝の作品の価値


陶磁器の買取において最も大きな価格差を生む要素が「作家名」です。特に、北大路魯山人、河井寛次郎、濱田庄司、藤本能道といった著名作家の作品は、国内外で非常に高く評価されています。
これらの作家は単なる職人ではなく、美術家・文化人としても名を馳せており、作品が持つ芸術的価値と希少性が査定価格に直結します。
さらに、「人間国宝」や「文化勲章受章者」といった肩書を持つ作家の作品は、保存状態に多少の難があっても市場価値が維持される傾向があります。
たとえば、北大路魯山人の花瓶や皿は、欠けがある場合でも数万円単位で買取されるケースがあるほどです。
また、現代作家でも、個展や展覧会で受賞歴がある人物の作品は注目されつつあります。陶芸界では「現代陶芸=投資対象」として見るコレクターも増えており、知名度が上がる前に取引されるケースもあります。



有名作家や受章歴のある陶芸家の作品は、芸術的価値と希少性で高額取引が期待できます。
人気の産地別(有田焼・備前焼・九谷焼など)の相場傾向
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陶磁器の価値を決定づけるもう一つの要素が「産地」です。
日本各地には独自の焼き物文化があり、次のような特徴を持っています。
- 有田焼(佐賀県)
- 日本初の磁器として知られ、白地に鮮やかな絵付けが特徴。特に江戸期の伊万里焼は海外輸出品としても人気が高く、高額で取引されます。
- 九谷焼(石川県)
- 赤・黄・緑・紫・紺青の「五彩」を使った絢爛な装飾が特徴。作家物の九谷焼は芸術性が高く、状態次第で数十万円の査定もあります。
- 備前焼(岡山県)
- 釉薬を使わず、焼締めによる渋い質感が魅力。作家の個性が強く出るため、人気作家の作品はコレクター市場で根強い支持を受けています。
- 萩焼(山口県)
- 柔らかな土肌と「萩の七化け」と呼ばれる経年変化が魅力。茶道具としての需要が高いです。
このように、産地の伝統・作風・市場人気が相場を左右します。特に、古い時代のものや輸出用に作られた精緻な作品は、希少価値が高く評価されます。
共箱・証明書・状態の良し悪しが価格に与える影響


陶磁器の価値を高めるために欠かせないのが、共箱・鑑定書・状態の良好さです。
まず「共箱」とは、作家や窯元が作品を納めるために用意した専用の箱のことで、蓋の裏や側面に作家自身の署名や印がある場合があります。
これは真作を保証する証拠として極めて重要であり、共箱があるだけで査定額が1.2〜1.5倍程度上がることも珍しくありません。
また、作家や販売元が発行した鑑定書・証明書も、真贋判断の根拠として大きな価値があります。さらに、作品の「保存状態」も非常に重要で、汚れやヒビ、欠け、補修痕などがあると大幅な減額となる可能性があります。ただし、前述の通り著名作家の作品や古陶磁の場合、完品でなくても市場価値が残るケースもあります。



共箱・証明書・良好な状態が三拍子そろえば、査定額は確実に上昇しますが、なくても価値は出るのです!
陶磁器をできるだけ高く売る方法を比較


店頭買取の流れとメリット
店頭買取は、陶磁器を直接店舗に持ち込んで査定を受ける方法です。
最大の特徴は、「査定士と対面で相談できる安心感」と「即日現金化が可能」という点です。
持ち込みの際は、作品を安全に運ぶために緩衝材や布で丁寧に包むことが大切です。特に高価な陶磁器の場合は、作品を複数重ねず、個別に包むようにしましょう。
- 受付
- 査定士による確認
- 金額提示
- 納得すればその場で現金受け取り
ただし、陶磁器は割れ物であるため、持ち運び中の破損リスクがある点には注意が必要です。また、近隣に専門性の高い買取店が少ない地域では、持ち込みの手間がかかることもあります。



店頭買取は安心感と即日現金化が魅力。持ち運び時の破損対策を忘れずに。
出張買取を利用する際の注意点
出張買取は、買取業者の査定員が自宅まで訪問し、その場で査定・買取を行う方法です。大量の陶磁器や重い花瓶などをまとめて売りたい場合、最も便利で安全な方法です。
自宅で完結できるため、持ち運びによる破損リスクがなく、高齢の方にも利用しやすいのが特徴です。査定額に納得できれば、その場で現金支払いを受けることも可能です。
ただし、訪問業者の中には、強引な買取を行う悪質なケースも報告されています。
そのため、依頼前に「古物商許可番号」や「会社情報」を確認し、口コミや評判を調べておくことが大切です。査定時には身分証明書の提示が必要になります。



出張買取は便利で安全性が高いが、信頼できる業者選びが重要です。
宅配買取の手順と梱包のコツ
宅配買取は、陶磁器を業者に郵送して査定を依頼する方法で、全国どこからでも利用できるのが大きな利点です。
店舗まで行く時間が取れない人や、遠方に住んでいる人にとっては非常に便利です。
- 業者のサイトから申込(無料キットを請求)
- 指定の箱に陶磁器を梱包
- 着払いで業者へ発送
- 査定結果をメールや電話で確認
- 金額に納得すれば口座振込で買取成立
梱包時は、新聞紙やプチプチで1点ずつ包み、箱の中で動かないように固定することが重要です。特に茶碗や香炉などの小物は、衝撃で割れやすいため注意しましょう。
デメリットとしては、査定士が直接現物を見ないため、写真や発送時の印象で評価が左右される場合があります。



宅配買取は全国対応で手軽ですが、梱包の丁寧さが査定額を左右します。
信頼できる陶磁器買取店の選び方
①専門鑑定士の有無を確認する
陶磁器は、作家・産地・製法・年代などによって価値が大きく変わります。
そのため、専門知識を持つ鑑定士が在籍しているかどうかは、買取店を選ぶ上で最も重要なポイントの一つです。
専門鑑定士がいる店舗では、作品の背景や技法まで正確に見極めることができるため、一般的なリサイクルショップや総合買取業者よりも、正確で高額な査定が期待できます。
特に、有名作家の作品や古陶磁などは、専門家でないと真贋の判断が難しいため、専門性の高さが大きく影響します。
信頼できる店舗は、公式サイトや店頭に「在籍鑑定士のプロフィール」や「資格・所属団体(例:日本陶芸美術協会)」を掲載していることが多いです。こうした情報の公開は、誠実な運営の証拠でもあります。
②口コミや実績で判断するポイント
良い買取店を見極めるには、過去の実績と利用者の口コミを確認することが欠かせません。
近年ではGoogleマップや口コミサイトで利用者の体験談が簡単に見られるため、これらを参考にすると信頼度が判断しやすくなります。
具体的にチェックしたいのは、以下の点です。
- 査定額に満足している人が多いか
- 査定士の説明が丁寧だったか
- アフターサポートに問題がないか
- 「しつこい営業」「強引な買取」がないか
さらに、店舗の買取実績(例:年間何件以上の陶磁器買取を行っているか)も重要です。実績が豊富な業者は市場動向を把握しており、作品の相場感にも精通しています。
③高価買取が期待できるおすすめ業者の特徴
ここでは具体的な店舗名ではなく、「優良業者に共通する特徴」をご紹介します。
(i)陶磁器・骨董品に特化している
総合リサイクル店ではなく、陶芸・骨董分野に専門特化している業者は、作家や窯の知識が豊富で査定精度が高い傾向があります。
特に、陶磁器専門の買取店は「一点ごとに価値を見極める力」が強いため、まとめ売りではなく一点査定を依頼するのが高額買取のコツです。
(2)査定・出張・キャンセルがすべて無料
良心的な業者は、査定後にキャンセルしても料金を請求しません。見積もり段階から透明性があることが信頼の証です。
(3)複数の販売ルートを持っている
国内外のオークション、美術商、コレクターなど、販路を多く持つ業者ほど高値で再販できるため、買取額も高くなります。
(4)写真・実績を公式サイトで公開している
過去の買取例や、査定の様子を公開している業者は、顧客対応に自信を持っている証拠です。
業者選びで避けたい注意点
信頼できる業者を選ぶ上で、避けるべき注意点もあります。
- 査定額を電話だけで即決しようとする業者
- 会社概要や所在地を明示していないサイト
- 「どこよりも高く買います」と根拠のない宣伝をしている業者
- 査定額提示後に「今決めてくれたら特別価格」と迫る業者
こうした業者は、実際には相場より安く買い取るケースが多いです。
安心できる取引を行うためには、必ず複数の業者で査定を比較し、金額だけでなく説明内容の誠実さも見極めることが大切です。
陶磁器の価値を高めるための準備と保管
買取前にしておきたい簡単な清掃方法
陶磁器を査定に出す前に、軽い清掃で印象を整えることが大切です。ただし、やりすぎは禁物です。
陶磁器は表面の釉薬や絵付けが非常に繊細なため、誤った方法で磨くと価値を損ねる恐れがあります。
陶磁器の清掃で守るポイント
- 柔らかい布や羽はたきで、ほこりを優しく落とす
- 水拭きをする場合は、きれいなぬるま湯を軽く含ませ、強くこすらない
- 絵付け部分や金彩部分には直接触れない
- 乾いた柔らかい布で水分を完全に拭き取る
汚れがひどい場合でも、漂白剤や研磨剤入りの洗剤は絶対に使用してはいけません。変色や剥離の原因になり、査定額が下がることがあります。



軽いほこり落としだけで十分。無理な洗浄は価値を損ないます。
破損を防ぐ安全な保管と持ち運び方
陶磁器は非常に壊れやすいため、保管と運搬の方法によって査定額が大きく変わります。特に、割れ・欠け・ヒビは致命的な減額要因となるため、次のポイントを守りましょう。
- 1点ずつ布や和紙で包む(直接重ねない)
- 箱の底に緩衝材を敷く
- 湿気の多い場所や直射日光の当たる場所を避ける
- 長期間保管する場合は、年に一度ほど取り出して風通しを良くする
持ち運びの際は、箱の中で動かないように固定することが重要です。特に花瓶や香炉のように形が複雑なものは、上下を分けて梱包し、緩衝材でしっかり支えましょう。
また、共箱がある場合は、箱自体も古美術的価値を持つため、汚したり傷つけたりしないように扱います。



一つずつ包み、動かさない・湿らせない。これが陶磁器保管の鉄則です。
売却前に作家名・来歴を整理しておく重要性
査定に出す前に、作品の来歴情報(いつ・どこで・誰から手に入れたか)を整理しておくと、評価が上がることがあります。
陶磁器は見た目だけでなく、「由来」も価値を決める要素の一つだからです。
例えば、家族の中で受け継がれた品や、個展・百貨店などで購入したものには、購入証明書や当時の領収書が残っている場合があります。こうした資料は、真贋判定の参考となり、査定の信頼度を高めてくれます。
また、作品の裏面や箱にある「落款(らっかん)」や「銘」を撮影しておくと、問い合わせ時にスムーズです。もし作家名が分からない場合でも、字形や印章を参考に、鑑定士が特定できるケースがあります。
有名作家・産地別の買取相場一覧
北大路魯山人や河井寛次郎など著名作家の相場例
陶芸界において、作家名は価値を決定づける最大の要素です。中でも、昭和期を代表する名匠たちの作品は、国内外のコレクターから常に高い評価を受けています。
作家名 | 代表的な作風・特徴 | 一般的な買取相場(目安) |
---|---|---|
北大路魯山人 | 独自の釉薬と豪快な造形、書・料理との融合 | 5万円〜100万円超 |
河井寛次郎 | 民藝運動の代表格。柔らかい釉調と造形美 | 3万円〜80万円前後 |
濱田庄司 | 栃木県益子焼を世界に広めた人間国宝 | 2万円〜50万円前後 |
島岡達三 | 濱田庄司の弟子。縄文象嵌の技法が特徴 | 1万円〜30万円前後 |
加藤唐九郎 | 志野・織部など伝統技法を再興 | 3万円〜70万円前後 |
藤本能道 | 色絵磁器の名手で文化勲章受章者 | 5万円〜120万円前後 |
※上記は保存状態・共箱の有無・作品の大きさにより変動します。特に展覧会出品作や限定制作作品は、数十万〜数百万円の高額査定となることもあります。
これらの作家は美術館所蔵品も多く、「実用品」ではなく「美術品」として取引されることが多いのが特徴です。
著名作家の作品は、日用品ではなく美術品として扱われるため高額査定が期待できます。
有田焼・九谷焼・備前焼の特徴と価格傾向
陶磁器の価値を左右するもう一つの要素が「産地」です。日本の伝統的な窯元には、それぞれ独自の魅力と市場価値があります。
有田焼(佐賀県)
日本初の磁器として知られ、白磁の美しさと華やかな絵付けが特徴。江戸期の伊万里焼は、海外コレクターに人気で、江戸中期の輸出用伊万里は数十万円以上で取引されることもあります。現代作家の作品でも、深川製磁や柿右衛門窯などの作品は安定した需要があります。
九谷焼(石川県)
九谷五彩と呼ばれる赤・黄・緑・紫・紺青の絢爛な彩色が特徴。明治期の輸出品や、現代作家の一点物は高評価。人間国宝・徳田八十吉の作品は、5万円〜100万円以上で取引されるケースがあります。
備前焼(岡山県)
釉薬を使わず、土の質感と焼き締めによる渋い色合いが魅力。金重陶陽や伊勢崎淳などの作品は、骨董・現代陶芸の両市場で人気が高く、状態良好な花器で10万円以上の査定となることもあります。
萩焼(山口県)
茶道具として高い評価を受け、「萩の七化け」と呼ばれる経年変化が魅力。吉賀大眉・坂倉新兵衛などの作家作品が人気で、茶碗や水指は数万円〜20万円前後で取引されています。
現代作家作品の評価ポイント
現代陶芸の世界でも、有名作家の作品は高く評価されます。特に、伝統技法を現代的に昇華した作家や、国内外で個展を開く人物の作品は、今後価値が上がる可能性があります。
評価されやすい現代作家の特徴は以下の通りです。
- 美術展や公募展での受賞歴がある
- 人間国宝や著名陶芸家の弟子である
- 作品が百貨店・ギャラリーなどで取り扱われている
- 限定制作やサイン入りなど、再現性が低い作品
また、現代作家の作品は、骨董市場ではなく「現代美術市場」で取引されるケースもあり、20〜30年後に価値が跳ね上がることもあります。
特に若手陶芸家では、海外アートフェアで評価を受けた作品が高値で取引される傾向があります。